タイムトラベルは可能なのか
子どものころ、心を踊らせたタイムトラベル。
ドラえもんでは、「来月発売の漫画が待ちきれない!」と漫画を見たいだけで簡単にタイムトラベルしていたものですが、本当にタイムトラベルは可能なのでしょうか?
タイムトラベルが可能なら、いま、地球に時間旅行者はいるのでしょうか?
そんな時間旅行の疑問に、科学的にわかりやすく解説いたします。
そもそも時間とはなにか
タイムトラベルが可能かどうかを考える前に、そもそも時間とはなにかを考える必要があります。
ドラえもんでは、「やべ!失敗した!ちょっと時間もどろ!」と、けしごむ程度の感覚で時間旅行していましたが、普通に生活していると、到底こんなことはできっこないように感じてしまいます。
しかし、これは、あくまでも普通に生活していたら、の話です。
時間のことを考えると、タイムトラベル自体は完全に理論的には可能なのです。
時間とは、重力の子分といえる存在であるからです。
時間は絶対的な存在ではない
これまで、時間は絶対的な存在であると考えられてきました。
過去にはニュートンが、「時間っていうのは絶対的な存在! 時間は逆戻りもしないし、みんな平等に流れるし、そういうもんなんですよ! わかりますよね!」と提案し、誰もがこれを信じてきました。
しかし、アインシュタインの相対性理論によると、時間は重力の子分といえる存在なのです。
強力な重力の前には、時間はゆがんだり、進みが遅くなったり、完全に重力の言いなりになってしまうことが天体観測で証明されています。
これまで、手出し不可能だと言われていた存在でしたが、巨大な重力の前では完全に言いなり、やりたい放題、野球部の上級生といった具合です。
理論上のタイムトラベルは十分に可能であり、時間旅行自体は決して夢物語ではありません。
どうやって実現できる?
現代でアインシュタインに匹敵する天才というと、やはりホーキング博士が筆頭に挙がるわけですが、彼は昔、「タイムスリップとか絶対無理! この世の法則として無理ってわかるでしょ!」と言っていました。
しかし、つい最近になり、「やっぱりできますよ」と言い出しています。
しかも博士、時間旅行者に会うために『時間旅行者パーティー』を開き、「時間を旅行してる人、話聞きたいから来てーーーー!!」と呼びかけています。
こんな『アメトーーーク!』みたいな感じで時間旅行者が来るのでしょうか?
パーティー開催の告知はパーティーが終わった後におこない、時間旅行者なら過去にさかのぼってやって来れるだろうと発言されていました。
ちなみに公式動画まであります。
めちゃくちゃかっこいい感じで時間旅行者を待ち、いよいよパーティーの開催時間になったら誰も来なかったという、世界レベルのコントみたいな感じですが、ホーキング博士が時間旅行に関心を持っていることがよく分かります。
ホーキング博士の理論によると、アインシュタインの相対性理論にそって、時間旅行は可能であるとのこと。
光速に近い速度で宇宙空間を飛べば、時間の流れは遅くなる。
1日光速で宇宙を飛び回れば、地球では1年も時間が経つ。
パイロットにとっては、1日しか宇宙旅行してないのに、1年後の未来に来たような感覚になる…ということです。
しかし物理法則があるので、過去に行くのはきっと無理だろうね…と語っています。
え!?
でも博士、その時間旅行者パーティー、過去に来てくれるのを期待して開催してるんじゃ…。
なんか言ってることおかしくない!?
あなたの発言、前後の時間おかしくない!?
その話する前に時間旅行してた!?
とりあえず光速に近いスピードで時間旅行はできるということでいいんですね!?
でもそれ、藤子不二雄がドラえもんの中で言ってたから知ってたよ!!
時間旅行者はいるのか?
ホーキング博士がパーティーという方法で呼び寄せようとした時間旅行者ですが、実際にこの世に時間旅行者はいるのでしょうか?
実はこれらもすでに研究が行われており、アメリカの物理学研究者チームが、時間旅行者の痕跡を探そうと調査を続けています。
「時間旅行者はどこかで自分がいた痕跡を残しているのではないか?」、「Twitterにうっかり書いたりしてるだろ!」とTwitterの完全調査を実施したこともあります。
なんか、ホーキング博士も物理学者チームも、検証方法がYouTuberレベルだと思わせるのですが、実際に現代でタイムトラベルを検証するには、ほとんどなにも方法がないことが見て取れますね。
時間旅行は非常に興味深い話ですから、ネット上でも「これは時間旅行者ではないのか」という書き込みがたびたび騒がれたりもしています。
アメリカの掲示板に書き込まれ、日本でも広く知られている自称・時間旅行者の『ジョン・タイター』も非常に有名です。
当たっている予言があったことから本物の時間旅行者かと言われていましたが、数多くの検証の末、極めて疑惑が多い偽物ではないかと言われています。
2ちゃんねるにも時間旅行者を名乗る書き込みが数多くありますが、そもそもネットに機密事項を書き込むような人物に、時間旅行のような大きな仕事を任せてもらえるのかという疑問があります。
時間旅行するのなら、それなりに知的水準の高い人間が派遣されて当然でしょう。
修学旅行感覚で誰でもあちこちに時間旅行していたら、すぐに正体がばれ、簡単に過去の人間に捕まってしまいます。
また、我々も自分たちのレベルで考えるとよくわかるのですが、時間旅行者は、めちゃくちゃ自分のことを言いたい状態になっていることが容易に想像できます。
我々がもしも10年前、20年前にタイムトラベルしたら、誰にも言ってはいけないと言われても、自分が未来人だと言いたくてたまらないはずです。
「あーーーみんな携帯はパカパカケータイ使ってんの!? プフッ!! あーこれ言っちゃおうかなーーー? iPhone出るってこと言っちゃおうかなーーー?」
と、超ウザいキャラになっても自分の時間旅行のことを周囲に言いふらしたいはずです。
誰もがこんなことをしてまわったら歴史が狂うので、時間旅行者がいるとしても、相当に知的水準が高い人間であり、こんな欲望に左右されない人間であることは絶対条件だと言えます。人前に姿を現すことはないはずないので、自ら時間旅行者だと言い出す人間は、まず偽物だと疑って構いません。
また、時間旅行の危険性を考えると、命がけであることも予想できます。
時間旅行に命の保証なし?
時間旅行でいつも問題視されるのが、「時間を移動できるにしても、どうやって位置を特定しているのか?」ということです。
みなさん御存知の通り、地球は常に回転しながら太陽のまわりを周回しています。
しかも、宇宙自体が太陽と地球を抱えたまま膨張し続けています。それも光速よりも速いといわれる恐るべき速度です。
つまり、1秒前にタイムトラベルするぞと地球上で時間を移動しても、その1秒で地球は光よりも速く移動しており、その場所には宇宙空間しかなく、時間旅行者は必ずそこで死亡します。
とはいえ、宇宙に関しては謎が多く、膨張しているという理論自体に欠陥があり、膨張していないか、膨張速度がゆるやかだという新説がなされれば、地球の位置をコンピューターで計算するのは不可能ではありません。
とはいっても、砂漠の砂ひとつぶの移動位置を測定するようなものなので、極めて技術的に困難で、命がけの旅行だと言えます。
これらをどのようにして解決して時間旅行するのかは完全に不明であり、現代の科学で有効的な理論を作ることができていません。
また、過去に戻れたとして、そこで親を殺すと未来の子どもはどうなるかというパラドックスにも、まったく答えることができません。幽霊同様、検証が不可能なものはすべて推測になり、科学で扱うことが出来ないからです。
しかし現代の技術で時間旅行ができる
わからないだらけの話になりましたが、それでも、現代の科学で時間旅行すること自体は可能です。
実際に、みなさんも誰もが時間旅行を経験しています。
ホーキング博士が言う、「速い宇宙船に乗れば、乗った分の時間だけ、地球側の時間とずれていき、戻ってきた時には浦島太郎のようになる」ということですが、なにもこれは宇宙船でなくてもいいのです。
飛行機や新幹線でも可能です。
東京から大阪への新幹線に乗っただけでも、乗った人の時間は、確実に乗らない人よりも遅れていき、到着時には本来の時間よりも少し未来の世界に来ていることになります。
とはいえ、人生のすべてを使って新幹線に乗り続けても、トータルで1秒にも満たないようなほんのわずかな時間です。
しかし時間は確実にずれていき、小さい時間であっても、誰もが時間旅行をしていると言えます。
物体の速度が速くなればなるほど、周囲と時間がずれていく。時間旅行はこの方法において確実に可能なのです。
では、どうすれば速く飛べる?
これらの理論は現実のものですが、では、『実際にどうやって速く飛ぶ?』という問題が残されています。
新幹線程度の速度では、時間旅行を体験するにはあまりにも不足があります。
それなりの時間旅行を体験するためには、光速に近い速度で飛ぶことは必要条件です。
ちなみに光速の99%の速度で飛行すると、時間の進み方が7分の1の遅さになり、地球で70年経過しても、パイロットにはたった10年しか時間が流れません。これはアインシュタインが相対性理論の中で証明しています。
では、アインシュタインの言うとおり、光速の99%で飛んで時間をずらそう!と思っても、ここでまた、アインシュタインの相対性理論が邪魔をしてきます。
相対性理論の中で、速く飛べば飛ぶほど、質量が大きくなる(重さが増える)と言われているのです。
アインシュタインの理論に振り回されますが、具体的に説明しますと、速く飛べば飛ぶほど、どんどんロケットは重くなり、途中からは燃料がまったく無意味になってきます。
なぜならその頃、もはやロケットは地球より重いからです。
これらは例え話ではなく、実際に速度(運動エネルギー)とともに質量は増大し、人間の手に負える代物ではなくなってきます。
現在の人間の科学力で許される速度では、ほとんど時間のずれを体験できません。
これこそが、理論的には実現可能でも、現実的には実現不可能だとされる理由ですが、こういった問題を解決するには、まったく違うアプローチか、現在よりも遥かに優れた技術が必要になります。
もしも時間旅行者がこの世にいるとしたら、これだけの重力や質量、高速移動なりをコントロール道具を、持ち運べるサイズで持っていなければとても実現できないでしょう。そんな便利なものこの世にあるの!?
だからこそ時間旅行者はいないとも言われるわけですが、今の科学技術で再現できないからといって、永遠にできないのかどうかは、現状で結論を出せないところです。
タイムトラベルの今後
未来へのタイムトラベルは、高速移動することにより、理論上可能です。
しかし、夢に見るような便利なタイムトラベルが今後どうなっていくかは、具体的な理論がなされるまでまったく分かりません。
さまざまな話が世間では噂されますが、どれだけ論争を重ねても、科学が追いついていない以上、実証も検証もできないので、肯定も否定もできません。
現在、とてつもないスピードで重力に関する研究が進んでいます。
これまでの科学が従来の常識を打ち砕いて進歩してきた以上、とっぴな話である時間旅行とはいえ、時間の上位である重力が解明され始めている今、やみくもに否定することは了見の狭い見識だと言われてしまうでしょう。
現代の科学の進化スピードは、もはや1から10までを数えて追っていくような、ゆっくりとしたスピードではありません。指数関数的なスピードだと言われています。
通常であれば『1、2、3、4、5、6、7、8、9、10』…と進化していくものが、『1、2、4、8、16、32、64、128、256、512』…と、加速度的に向上していると言われているのです。
ちなみにこれを30回繰り返すと、『30』と『10億』の差になりますが、実際に科学はこれくらいのスピードで進化を遂げています。
10年前には誰もスマートフォンを持っていなかったものが、今や子どもが使いこなしていたり、自動運転の車がラジコン程度の機能しか持っていなかったものが、今や法律で運転手として認められようともしています。
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これほどの科学の躍進を見られることは、もはや生きていることが時間旅行に匹敵する体験であるとも言えます。
タイムマシンに乗らずとも、もはや我々は、過去の時代の人間から見れば、科学技術の急激な進歩という大きな時間移動の方舟に乗っているのです。