ただの石が6億円で売れよった!ペットロックブームに見る『人が本当にほしいもの』とは

本当にただの石が6億円!

古今東西、欲しくもないものを欲しくない人に売りつけることはできないと言われています。

南国にストーブを持って行ったり、南極にかき氷を持って行っても売れないように、購入者のニーズを押さえられないと商品は売れないと言われています。

逆に、ニーズさえ押さえられれば、どんな売れない商品でも売れていくのです。

狐につままれたような話ですが、1975年、ただの石がアメリカ全土で購入され、総売上は6億円にもなりました。その名もペット・ロックです。

ペット・ロックってなに!?

1975年のクリスマス、ゲイリー・ダウルさんが、『クリスマスになんか売ったろう』という発想でただの石をペットとして売り始めます。

このペットロックは3.5ドル(420円程度)で売りだされ、パッケージ代などの費用を入れても、利益は3ドル(360円程度)。

ただの石ですから、本気で丸儲け状態です。画像が残されています。

800px-Pet_Rock-2003

参照:wikipedia

正真正銘、そのへんで拾ってきたようなただの石です。

なんか汚れており、正気であれば漬物石としても落第するレベルです。

複数揃えたペット家族もあります。

Pet_rock

参照:wikipedia

完全に目のシールつけただけです。

これらの石をきれいにパッケージングし、取り扱い説明書をつけ、『お手のやり方』『伏せのやり方』などの解説が載せられていました(当然なにも反応しません)。ただの石の分際で血統書までついていたということです。

こんなもの数百円でもいらないと思わされますが、プレゼンテーションは絶妙でした。

欲しくなる伝え方

現代社会に疲れているみなさん、ペットを飼って癒やされたいと思いながらも、そのペットを飼うことにも世話などに疲れ果ててしまうみなさん!!

ペット・ロックにはそんなわずらわしさはありません!

お世話?出費?すべてが不要!

あなたに癒やしだけを提供できる、完全なるペットです!

ときおり入浴させ、夜にはベッドで寝かせてあげて下さい。

ペット・ロック同士で家族を作ることも出来ます。彼らには、あなたが社会で感じているわずらわしさの一切が不要!

ペット・ロック用台座、血統書、しつけの説明書とともに、生き物として大切に梱包してお贈りします!

あなたを癒やすためだけの存在、ペット・ロックを体験してみてください…!!

このような説明とともに、ペット・ロックはまさに生き物のように取り扱われて販売されました。

生き物と同じように、空気穴をつけた箱に入れられ、丁寧に梱包され、血統書がつけられ、真顔でジョークを言うように販売されたのです。

価格は400円前後と、シャレであれば「まぁ、買ってもいいかな」と思わせる絶妙な値段設定。

現実に疲れきっている現代人の、心の隙間にフィットしたのです。笑ゥせぇるすまんのようなやつです。

ペット・ロックのブームはわずか半年でおわり、「いいかなと思ったけどやっぱりただの石だったわ」と誰にも気付かせましたが、ブームが終わるまでに500万個を売り上げました。総売上は6億円以上にもなったそうです。

実はいつでも同じものが売れている

このペット・ロックブームを見ると、みんないいように騙されよったと思われるかも知れませんが、実は現代でもいつも同じものが売れています。

ファービー 日本語版 キャンディピンク

過去にブームになったファービーも、世話がいらない、癒やしのペットという触れ込みでした。あっという間に飽きられましたが、7000円もするこのファービー、全世界で4000万個も売れたのです。

SONY AIBO アイボ ERS-7 マインド2

SONYから販売されたAIBOも同じですね。

25万円というおそろしい価格であるにも関わらず、「死なずに世話がいらないペット」という、ペット・ロックとまったく同じ触れ込みで、全世界で15万台も売れました。

死なないペットという触れ込みでしたが、SONYが2014年で修理対応を終了したため、ついにAIBOにも死が訪れようとしています。いまだ有志の間で修理が行われたり、合同葬式が行われるなど、ファンの間では末永く愛され続けています。

笑ゥせぇるすまん方式

笑ゥせぇるすまん ウォールステッカー のぞき SHWS365笑ゥせぇるすまん(1) (藤子不二雄(A)デジタルセレクション)

やはり人は、どれほど裕福になっても、お金とは無関係に心の隙間があるものです。

むしろ貧乏であればあるほど、「ペット・ロック!?AIBO!?そんな高いもの買えるかーーーーアメンボ拾ってこい!!」と、ジョークにお金を払う余裕はありませんが、お金に余裕があり、心の隙間がある人は、お金を払ってそれを埋めようとするのです。

まさに笑ゥせぇるすまんと同じやり方であり、いつの時代にも必ず成功する方法だということがわかります。

いつの時代でも通用する『お金持ちになるための方法』は、他の人の心の隙間を埋めることだとも言えるでしょう。

しかし、お金とは無関係に他人の心の隙間を埋められたら、それこそがお金がなくとも本当の裕福だというものです。

人が生きる価値はそこにあるのではないかとも思います。

宗教じみた話ではなく、自分が優しくされたいように人に優しくするという、たったそれだけのシンプルな話です。

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