USBが増えすぎている!
デジタル社会になった今、USBの種類が増えすぎています。
もともとパソコン用のUSBしかなかったものが、デジカメ、携帯電話などが増えるにつれ、それに合う大きさのUSBを開発した結果、もはやすべて揃えると10種類くらいある状態に。
1本にまとめて!! めんどくさいから!!
今回はUSBの中でも人を迷わせる、mini-USBやmicroUSBにあるA・Bタイプの違いと、USB事情について解説いたします。
mini-USB、microUSBとは
デジタルカメラなどの家電用に開発されたのがmini-USB(ミニUSB)。
携帯電話用に開発されたのがmicroUSB(マイクロUSB)です。
どちらもAとBタイプがありますが、これが非常にややこしい。
ちなみに下図がそれぞれのA・B規格です。
参照: Wikipedia
ほとんど一緒やん…!
ピンの位置も同じなので、ふたつはそもそも同じような規格なのです。
ではなぜふたつの規格があるのか? USBの、AとBとの違いとは?
USBのAとB、そもそもの意味
基本的に、USBはAが本体用、Bが周辺機器用になっていると考えていただいたらわかりやすいです。
参照: Wikipedia
これがパソコンなどに使うUSB・Aタイプ。一番良く見るUSBですね。
参照: Wikipedia
これがプリンタなどに使うUSB・Bタイプ。このように、Aはパソコンのようなメイン機器、Bはプリンタなどの周辺機器に使うと考えていただいたらわかりやすいです。
mini-USBは例外
参照: Wikipedia
USBはAがメイン、Bが周辺機器と分かりやすかったのですが、mini-USBはAとBで形がほとんど同じであり、非常にわかりにくいですね。
mini-USBは、もともとデジタルカメラなどのために作られた規格です。
最初はmini-USB・『A』だけが販売されており、それで事足りるはずだったのですが、1000回抜き差しすると壊れるかもという致命的な欠陥が発見されます。
デジタルカメラなどを毎日使う写真家にとっては、3年の命のケーブルというのが到底納得いかないわけですね。
そこでmini-USB・『B』が作られ、こちらは5000回の抜き差しに耐えうるようにできており、主流はこちらになりました。Aはどんどん廃止になっていく予定です。とんだ無駄足です。最初からちゃんと考えて作ってほしいものです。
後期のデジカメでは、microA/B差込口という、A・Bどちらにも対応したマルチ差込口が流行りましたが、もうAのケーブル自体がほとんどありません。
ですから、mini-USBは基本的にBのことだと考えてもらって大丈夫です。
しかしmicroUSBにすべてを奪われる
こうしてmini-USB・Bの天下が訪れるはずでしたが、携帯電話などが普及するにつれ、「なんかmini-USBでもでかいな」、「5000回抜き差しで壊れるって少なくない?」、「写真家は1日に10回くらい抜き差しすることもある! 1年半で使えなくなるぞ!!」と、天下を取ったはずのBに苦情が殺到。microUSBが開発されました。
microUSBは1万回の抜き差しに耐え、しかも小さく、その上コストも安いというすぐれもの。差込口に爪があるため(ラッチ構造)衝撃にも強い。これが出ると、「もうminiはいいだろ」と誰もmini-USBを採用しなくなったのです。
とんだ三日天下、まさに明智光秀のようなケーブルです。
参照: Wikipedia
■ちゃんと歴史に学ぶべき。これでmicroUSBの天下に…?
microUSBもややこしいことに
mini-USBがAとBでわたわたしてる間に天下を取ったmicroUSBですが、彼にもA・B問題が訪れます。
携帯電話用に作られたmicroUSBですが、パソコンと携帯電話をつなぐときには、パソコンが本体でA、携帯が周辺機器でBになります。
では、携帯にUSBメモリを挿す時、どっちがAでどっちがBになるの? この場合、携帯がAじゃないの? どっちを挿したらいいの?
当初、A・Bが発売されていたmicroUSBですが、この問題には非常に困りました。
携帯本体も進化し、「AもBもどっちも挿せるから大丈夫!」というマルチ差込口対応になりますが、これは完全にminiUSBのたどった道。
最終的に、「全部Bで!」というminiUSBとまったく同じ結論をむかえることになります。
最初からみんなそうして!!
なんで回り道したの!?
LightningUSB登場
USBがようやくmicroUSB・Bでおさまりかけているところに、新たな雄、Lightning(ライトニング)USBが登場しました。
裏表の違いがめんどくさかったUSBを、初めてリバーシブル構造にし、充電や電力の供給に優れるなど、利点を大きく広げたUSBです。
じゃあ最初からそれ出しといて!! と思われるかもしれませんが、このLightningUSBがUSBの主流になることは今のところありません。
これは、iPhoneのappleが独自に開発したUSBであり、USB規格の中には入っていないのです。
しかしiPhone自体が異常に流行っているので、「便利だしこれがUSB」だと思っている方も少なくありません。
iPhone・iPadはLightningUSBでしか充電できない上、LightningUSBのチップにはappleのライセンス料が必要になるため、周辺機器だけでもappleには大きな利益があります。独自規格で利益を上げるというのは、企業においてよくある手法です。
USBはどんどん速くなっている
最後にUSBの速度についても触れたいと思います。
USBの形にはminiやmicroなどがありますが、すべてのUSBには『世代』があります。
世代によって、データ通信速度も送電スピードも全く変わってくるのです。
1996年頃の古いケーブルはUSB1.0ですが、通信速度は12メガ。充電機能はまだありませんでした。
2000年のUSB2.0になると、通信速度は480メガ、送電は500mアンペアに。
2013年のUSB3.1では、通信速度なんと10ギガ、送電は1000mアンペアです。
10ギガというと10,000メガのことですから、17年の間に833倍になったことがわかりますね。
USBの進化とともに、パソコンライフも豊かになってきました。
今後のUSBはどうなる?
最も新しいUSBとして注目されているのが『Type-C』で、これはUSBでありながらLightningUSBのように裏表なく接続でき、速度もめちゃくちゃ速いという最新鋭の規格です。
しかも動画も転送できるため、これまでビデオカメラには、充電で『ACアダプタ』、データ転送に『USB』、テレビへの動画再生で『HDMI』という3つのケーブルが必要でしたが、それらがすべて『Type-C』ひとつで実現できるのです。
素晴らしい新規格ですが、難点は、形が今までとまったく違うため、またUSB最初からやり直しということです。
もーーー今までさんざんいろいろ買ってきたのに、また新しいの買わなきゃいけないのーーー!?
miniとmicroのA・Bで学習してよ!! ややこしいのは困るんですよ!!
しかし、対応機種が増え、旧機種が使えなくなっていくにつれて、Type-Cも主流になっていくかも知れません。
また、Bluetoothに代表される無線機器も進化しているため、ケーブル以外に無線の選択肢も増えるでしょうね。
数年後には今より更に便利な状態でデジタル機器を使える時代になっていくでしょう。そして、『Type-C』が末永く使われる統一規格になってくれることを願ってやみません。
またたくさん買うのいやだから!!(笑)