applePencil発表
2015年9月9日、appleからアップルペンシルが発表されました。
iPadpro専用スタイラスで、筆圧感知や筆のようなタッチ、デジタル定規などにも対応し、iPad本体から簡単充電、連続使用12時間という優れたバッテリーを搭載。
appleは、まさに次世代のスタイラスであると宣伝していますが、果たして液晶タブレットのかわりのように使えるのでしょうか?
また、すべて揃えると、気になる価格はどのくらいなのでしょうか?
11月発売ですのでまだ不明な点も多いですが、現時点で発表されているスペックなどを使って検証してみました。
どちらが安い?
アップルペンシルはiPadpro専用ですので、過去のiPadを持っていても使うことが出来ません。
これは筆圧感知が過去のモデルには搭載されていないためだと思われます。
このため、現在iPadを持っている方でも、アップルペンシルを使うためには新しくiPadproを購入する必要があります。
iPadproの日本販売価格はまだ発表されていませんが、だいたい9万円前後であるだろうと言われています。
アップルペンシルが1万円ほどですので、足して10万円程度がアップルペンシルで液晶タブレットのように使うために必要な金額です。
では、絵描きにとって大人気のWACOM Cintiqを購入するといくらくらいになるのでしょうか?
価格ドットコムでは、最安で10万円ちょっとといったところ。
現時点ではほとんど価格に変わりがないといったところでしょうか。
ただしiPadは携帯会社からも契約と購入ができます。こちらの価格はまだ未発表ですが、iPadproが一括0円などで投げ売りされる時代になれば、『家庭用タブレット』としての購入しやすさは大きく変わるかもしれません。
気になるスペック比較
両者の気になるスペックを比べてみましょう。
iPadと同じく持ち運びができる、Android搭載のCinteq、Cintiq Companion Hybridで、iPadproと同価格帯である16GBモデルを比較します。
比較表では勝っているほうを赤字にしています。
iPadpro | Cintiq Hybrid | |
サイズ | 12.9インチ | 13.3インチ |
解像度 | 2732×2048 | 1920×1080 |
チップ | 第3世代A9Xチップ | Nvidia Tegra 4 クワッドコア |
容量 | 128GB | 16GB |
OS | iOS | Android |
重量 | 713グラム | 1.7キロ |
バッテリー | 10時間 | 7時間 |
作業ボタン | なし | あり |
USB端子 | なし | あり |
ペン充電 | 必要 | 不要 |
デスクトップモード | 可能 | 可能 |
細かく解説していますと…
まず、画面サイズはCinteqに軍配が上がりますが、ほんのわずかといったところです。むしろiPadproはRetinaディスプレイであり、実機で比べるとiPadproのほうがきれいといったことも有り得ます。
解像度はずいぶんとiPadproのほうが上位モデルになっています。
チップは完全にiPadproのほうが上で、最新PCと比較しても遜色のない化け物レベルです。
容量に関しても比べ物にならないくらいiPadproのほうが上です。しかし、お絵かきのみで使うならば、「そんなに必要か」といった問題も出てきます。もちろん、お絵かき+タブレットとして使いたいのならば、圧倒的にiPadproなのですが…。
OS は、iOSがいいかAndroidがいいかは好みです(笑)。Cinteqでは漫画制作を容易にするアプリ、「Wacom Manga Canvas」が付属しています。iOSでしたら「メディバンペイント」あたりが有力候補でしょうか。
重さとバッテリー持続時間ではiPadproが上位になります。なんと重さに1キロも差があります。iPadproは外でスケッチブックのように使ってもまったく問題のない持続時間と重量です。これから、スターバックスでスケッチブックのかわりにiPadproを走らせる方々が出てくるのでしょうか。
USB端子は通常たいして使わないのですが、パソコンで作ったデータを簡単に移動したいと考えると、やはりまだまだUSB端子が付属しているCinteqのほうがありがたいですね。もちろんクラウドを使えば解決する問題ではありますが…。
Cinteqには、お絵かき用の作業ボタンがついており、これで作業効率をアップさせることができます。やはりここは老舗のWACOM。
スタイラスが充電不要なのもWACOMの優れた点です。WACOMは液晶タブレットの老舗であるため、多くの方の知恵が蓄積されていますね。ただ、アップルペンシルは15秒の充電でも30分使えますので、それほど気になる問題では無いかなと思います。
パソコンとつなぐデスクトップモードですが、どちらも対応可能です。C
パソコンと接続すれば慣れ親しんだ『SAI』などをそのまま使えるので、これは必須機能であるといえるでしょう。CinteqはHDMI端子、iPadproは『Duet Display』や『TwomonUSB』などの専用アプリと、USBケーブルを別途購入が必要です。
最後に、ペンタブで最も重要な『描き心地』ですが、ここはアップルペンシルのほうが優れています。WACOMでは、どうしても液晶とペンとの間にわずかなエアギャップがあり、ペンと線がずれていたり、画面の端に近づくほど差が大きくなったりしますが、アップルペンシルでは誤差がほぼゼロ。線を描くときに起こる、『遅延』と呼ばれるペンのスピードに線が追いつかない現象も発生しません。
まさに、クリエイターのために作られたタブレットという名前そのもの、この点は非常に優れていると思います。
どちらを買うのがよいのか?
ところどころ、iPadproのほうが圧倒的である部分もありますが、最新機種であることを考えると当然だとも言えます。問題は、液晶タブレットとしてどちらが使いやすいかですが、ここは非常に難しいところでもあります。使用用途によって変わってくる部分もあるでしょう。
『家で使う』ならば、どちらもデスクトップと接続してSAIを動かせば、同じように満足に使えるでしょう。もちろんiPadproのほうが機械の性能は上ですが、applePencilの性能はまだ未知数で、WACOMのほうが優れている可能性もあります。(もちろん、applePencilのほうがはるかに優れている可能性もあります)
『家でも使うが、外出もして気軽に使いたい、しかもお絵かき以外でも十分に使いたい』
という場合、圧倒的にiPadproです。
このような赤魔道士的な使い方をする場合、iPadproは非常に優れており、すべての場面においてそつなくこなすことができるでしょう。
持ち運びタブレットとして考えた場合、CinteqHybridは、「いま、10万円も出して16GBのAndroidを買うべきか???」という疑念が頭をよぎります。
まさに、「清水の舞台から飛び降りる!」といった感じです。
この状況ですとiPadproは、「清水の舞台から飛び降りる!ただしぼくはスパイダーマン」という感じで、飛び降りも余裕です。
最新機種ですし、iPadはタブレットとして使いやすいように洗練されているので当たり前ですが、お絵かき以外にタブレットとしても見るならば、iPadproに軍配が上がります。
個人的なおすすめ
ここから先は個人的なおすすめですが、やはりライトに楽しみたいのならばiPadproとapplePencilの組み合わせは優れていると思います。
なぜなら、iPadproを今後手に入れるであろう人間はとてつもない数にのぼるからです。
Cinteqを持っている方々は数が少なく、10万円も出して液晶タブレットを買うのは、売れている作家かヘヴィー級のオタクかという感じですが、iPadproはそのへんの小学生でも触ることになるでしょう。価格も下がっていくでしょうし、中古もよく出まわることを考えると、入り口としてとてつもなく入りやすいものだと思います。パソコンと接続すれば不便もないでしょう。
ただし、Cinteqには上位機種があることを忘れてはなりません。
20万、30万、40万とお金を出せば、27インチクラスの「テレビじゃないか!?」というレベルの液晶タブレットを買うことも可能です。
もちろんCinteqは持ち運びモデルの『Hybrid』以外は、家でパソコンとつないで使うのが基本体制です。
しかしこの上位機種にもなると、iPadproよりもずっと満足したお絵かき体験をすることができるでしょう。
ですので、このブログの個人的な見解としては、
いろんな用途に使いつつ、気軽にお絵かき体験を楽しみたい、という方にはiPadproとapplePencil。
いろんな使い方不要、プロ仕様で本格的にお絵かきをしてみたい、という方にはCinteqの上位機種。
という感じの評価になってくるのかなと思います。
しかし技術は日進月歩ですから、iPadproでのお絵かきプラットフォームが進化して、結果的にプロ志向になっていったり、逆にCinteqがiPadproなどに対抗して、低価格でよりよいものを出してくる可能性もあります。
そのようなニュースに関しては随時記事にしていきたいと思います。
みなさまが快適な液晶タブレットライフを送られることを願って、筆を置かせていただきます。
追記
アップルペンシルが正式に発売され、正確なスペックの比較が可能になりました。
多くの機種と比較した結果、最高の液晶タブレットが決まりましたので記事にしています。
そちらも参考にして下さい。