大阪人なら、必ず誰もが見て育った『探偵ナイトスクープ』。
一般人からの依頼をおもしろおかしく解決していくバラエティ番組で、明らかに家庭内で解決すべきくだらない依頼にも真剣に取り組む姿は、まさに大阪人の鏡といえる『笑い』の真骨頂です。
今回は、30年近く放送されている『探偵ナイトスクープ』の中から、ぼくが印象に残っている話を集めて紹介していきます! 第1回は『一攫千金!? 宝探し編まとめ』です!
YouTubeの動画はどれも違法ですので紹介を控え、本編を見ずともわかるように文章でおもしろおかしく紹介しました。探偵ナイトスクープを見たくなった方はぜひDVDをレンタルか購入してみてください。楽しい1日が過ごせることうけあいです!
ビックリマンシールを売ったお金でプロポーズまでこぎつけたい!
現在、つきあって9ヶ月になる彼女がいるという依頼者。
そろそろ結婚をと考えているものの、結婚資金がこころもとない!
そういえば昔集めたビックリマンシールがあった!! これを売れば結婚資金くらいになるんじゃないか!? そのままプロポーズまでスムーズにいけるんじゃないか!?
そんな依頼を受けた探偵は、「こんなもんに価値あるのかぁ~?」と疑心暗鬼になりますが、ちまたの噂では1枚20万円を超えるものもあると聞いて驚愕します。
こんなもんが20万円!?
しかも依頼者は1000枚持ってる!!
ざっと計算して… 2億円!?!?
これは確実に結婚もプロポーズも余裕でいけるなと安心しきった探偵と依頼者。
プロポーズは絶対確定として、もう結婚式のプランまでも決めてしまおうと結婚式場に直行。
「一番高いコースでお願いします!! お金ならあるんで…!」と担当のお姉さんに言い切る依頼者。
やはり2億円を持っている男は言うことが違います。
最高レベルの結婚式に、新婚旅行は海外、親戚縁者も全員呼ぶというフルマックス結婚プランを注文。
2億円のビックリマンシールをふところから出し、「これで支払いしたい」と説明すると、担当のお姉さんはなんともいえない表情で見つめ返しますが、これも2億円の価値を知らないからこそ言えること。
「1枚20万円ですよ!!」と説明するとお姉さんも驚き、「結婚式もプロポーズもこれで楽勝だ!!」と安心しきっていた探偵と依頼者。
バラ色の未来を想像していたところに、コレクターズショップからの査定結果が襲いかかります。
「全部足して12万円です」。
2億円が一瞬にして12万円に。
探偵は依頼者に忠告します。
「これもうプロポーズやめる!? ビックリマンシール売ってプロポーズしてアウトだったら、彼女もビックリマンもどちらも失うという、君がビックリマンな結果になるよ!!」
探偵のしごくもっともな指摘も乗り越えプロポーズした結果、依頼者はみごとOKの返事をもらいます。
おめでとう!! っていうかビックリマンのシール全然もうどうでもいい!!
なんでこんな依頼した!! 自分で解決しなさい!
うちの井戸に砂金がある!?
依頼者の引越し先の建物に、とてつもなく古いものと思われる隠された井戸が発見されました。
まだ水はあるのかと水を汲んでみると、澄んだ水の中にはキラキラと輝く金のようなものが。
もしかして、これは砂金を隠した井戸か!?
聞けばこのあたりは、江戸時代に遊郭などが立ち並んでいたところだといいます。
更に豊臣秀吉の時代、井戸に金を入れて水をきれいにするという風習があり、この砂金は、井戸に放り込まれた金塊の一部である可能性も。
もしも本物の金であれば、1グラムで3,200円。10キロで3,200万という超大金。
ビックリマンシール2億円に比べればかなり小さいですが、十分な大金になります。
この依頼に対して調査に現れたのは、吉本芸人屈指のゼニゲバ・たむらけんじ。
現れると同時に「何割を俺にくれるのか?」というゼニゲバマックスの発言をし、調査のためたむらけんじは井戸の中にダイブ。
しかし井戸はとてつもなく深く、とうてい底まで行くことは出来ない…。
冷たい井戸の水に冷えきったところで、依頼者が「飛び込まなくても、長い棒の先におたまをつけて井戸の底をすくえばいいのでは」という最初に言えなお約束展開はあったものの、調べてみるほどに井戸の底はまさに宝の山。
すくえばすくうほどに、砂金のようなものが次から次へと採れてきます。
「これはすごい!! かなり井戸水も飲んでしまったが、これも澄んだ美しい水だった! 砂金だけでなく、水も飲料水として売り出せるかも知れないレベル!!」
金の魔力にとりつかれ、目が¥マークになっている依頼者と探偵。
さっそく井戸からすくった砂金を鑑定しに、宝石屋まで訪れました。
大発見に息を呑む2人に対し、鑑定士が告げた鑑定結果は…
「これは砂金ではなく、雲母(うんも)という岩の一部、タダ同然です」。
更に、探偵が井戸の中で飲んでしまった井戸水を検査すると、『細菌がいるので飲料水としては使えない』という結果が。
こうなると目が¥マークになっていた依頼人も、急に手のひら返しし、
「だから言ったでしょう?」
とあたかも探偵を止めていた立場であるかのように変わり身し始めます。
なんという人間の汚さ。ただの石を見つけて、細菌がいる水を飲んだだけで終わった探偵でした…。
恐竜の牙が入っている石! 中を見たい!
大学の教授である依頼人は、40年前にグランドキャニオンを旅行した際、現地で『ダイナソーエッグ』と呼ばれる石を購入したという。
「中には恐竜の牙があるはず! これは貴重品だ! 中を見てみたい!」
中を見てもきっとなにもないですよね?
これは心の声ではありません!! 正面からのツッコミです!!
毎週探偵ナイトスクープを見ていてもう知ってるんですよ!! なにもないってことが!!
こんなことを毎回やって許されるのは大阪人だけ!
関東ならとっくの昔に打ち切りになっていてもおかしくない状態です!
しかし依頼人が大学教授ということで、ただの石を騙されて買ってはいないだろうという不思議な説得力があり、ダイナソーエッグは非破壊検査やCTスキャンなどに出されることになります。
検査すればするほど、普通の石とはやや構成が違う…?
中にはなにかがある…? 普通の石とは違うなにかが見える…!!
探偵も依頼人も期待に高まり、ついには石をまっぷたつに切断することにします。
石を割ると、確かに中にはなにか正体不明の形がある…! これが恐竜の一部なのでは!?
専門家に調査依頼すると、このような結果が返ってきました。
「これは『ダイナソーエッグ』ではなく、『サンダーエッグ』という鉱物の一種ですね。溶岩の空洞に結晶が詰まったものです。売店で『サンダーエッグ』と言ってませんでしたか?」
なんと、40年間『ダイナソーエッグ』だと思っていたものは、ただの聞き違いだったことが判明。
探偵「そうなんですか依頼人!?」
依頼人「そうだったような気も…」
もうやめさしてもらうわ!!
隕石を売って3,000万円ゲットして小説を自費出版したい!
依頼者のおじいちゃんは、小説を書くことが大好き。
書き上げた小説は老人会で絶賛され、すでにベストセラー確実と評価されているといいます。
小説を自費出版するには300万円ほど必要!
しかし、ここに昔ひろった石がある。これは見た目からして完全に隕石。隕石であれば3,000万円くらいで売れるはず。これで小説を出版してベストセラー作家になりたい!!
全知全能の神でもツッコミにとまどうほどの迷走っぷり。
まず、おじいちゃん言わせて。それ隕石違うよ!!
探偵ナイトスクープに貴重品はないよ!!
どれほど多くの人達が倒れていったと思ってるの!?
しかしおじいちゃんの依頼を受けた探偵、真剣に隕石を調査することに。
まずは最終目標である小説について評価してもらうため出版社に向かうと、おじいちゃんの小説を読んだ編集者が、言いにくそうな顔で
「どれだけ手を入れても1,000部がせいぜい」
などと言ってきたので、隕石鑑定前に余計なダメージを負うことになります。
問題は小説じゃないから! 隕石ですから!!
そして隕石を専門家のところに持って行くと、専門家は困ったような哀れみのような不思議な表情をしながら、やわらかく探偵と依頼人に話しかけます。
「これは…隕石ではなく数千万年前にできた石ですので…」
探偵「数千万年前!? それなら価値あるんじゃないですか!?」
「どこの石も全部そうです」
なんと隕石だと思っていた石はただの石だったことが判明。
その後、専門家はとても言いにくそうに、
「この石は、ご自宅に飾るとかっこういいので、そうなさって楽しんで下さい」と告げます。
まさかの自宅展示扱い。3,000万円はどこにいったのか!?
やはり、隕石が3,000万円なんていううまい話はなかった…。そしてもう誰もがそれを見る前から知っていました。
ぼくはいつしか探偵ナイトスクープで本当のお宝が見れると信じ、今後も毎週見続けます。