飛べないすずめを保護したら?野鳥を救うための心得

飛べなくなった野鳥を見つけたら

040599

道を歩いていて、たまたま飛べなくなった野鳥を見かけることがあります。

ぼくは子どもの頃、田舎に住んでいたので、よく飛べなくなった大鷲などを見つけました。

自分の体よりも大きくてびっくりしたものです。

大切に家に連れて帰り、日陰に置いておくと、熱中症かなにかだったのか、やがて元気になり、飛び立っていったことがありました。

その時大鷲は、不思議なことにぼくの真上を何度も旋回し、近くの木の上に止まった後、じっとぼくのほうを見つめて、しばらくしてからどこかに飛び立って行きました。

子ども心に、「お礼を言っているのかな」と感動し、それ以来、ぼくは道で傷ついている野生動物を見ると、彼らにも心があると感じ、見て見ぬふりはできないと思ってしまいます。

しかし!人間がどこまで野生の世界に手を出していいのか?

今回は、野生動物保護の心得をご紹介したいと思います。

飼育は法律違反

最初に理解しておきたいのが、都会でよく見かける、鳩や雀などを狩猟、保護、飼育することは法律で禁じられているということです。

これは野生動物保護法で定められており、正式な手続きを踏めば、保護することも飼育も可能なのですが、どれだけ家族が「飼いたい!」と言っても、基本的には逃がしたほうがいいと言えます。

鳩や雀は異常なほど菌が多く、小さい子どもがいる家庭では、深刻な病気を引き起こしかねません。

そもそも彼らは野生の世界で行きているものたちであり、彼らを家で飼いたいというのは、『もののけ姫』を専業主婦にしたと言っているのと同じような意味合いがあります。

もののけ姫は野生に帰ります!

しかし、たぬきなどが、明らかに交通事故の被害に遭っている場合など、やはり人間の責任ですから、野生に帰れるようにしてあげる思いやりは生き物として当然です。

そんな場合には例外的に自治体に相談できますので、傷ついた野生動物を見かけた際には思い出して下さい。

どうやって守ればいい?

都会で最も見かけやすい、雀や鳩について例にとって解説します。

まず、彼らがヒナであった場合は、決して保護せず、車に轢かれないようなところに移す程度の優しさで立ち去って下さい。

ヒナは正に、地面に落ちたり転げながら『飛び方をおぼえている』ところであり、この時期に人間が保護してしまうと、『自力でエサを穫れない大人』になってしまいます。

大人になって野生に返したところで、間違いなく餓死してしまうので、野生のヒナを保護してはいけません。

ヒナを保護する場合は、『周囲に巣や親鳥がおらず、保護しないと確実に死んでしまう』場合のみです。

野生の生き物は、弱そうに見えても、人間が考えているよりもずっと自然に対応する力を持っています。ヒナを見つけると思わず保護したくなりますが、よほどのことがない限り、陰からこっそり親鳥が見ています。彼らの力を信じて見守るのも、人間の優しさなのです。

大人の鳥が倒れていた場合は?

ヒナの保護は慎重にしなければなりませんが、大人の鳥はまた事情が違います。

大人の鳥は、よく脳震盪を起こします。動けなくなってうずくまっていたり、ひっくり返ったりしているのがそれです。

この場合、そっと誰にも狙われないようなところに隠しておけば、しばらくすると元気になってまた飛び立ちます。

ぼくも今朝、ちょうど弱ったすずめを見つけ、冬を目の前にして寒かったこともあり、牛乳パックで作った即席の鳥小屋に保護しました。(鳥は体温の低下が命取りになるからです)

しばらく家の中で寒さしのぎをさせてやると、すずめは元気になり、家の中を飛び回ってフンをしたい放題し、やがて窓から外に出ていきました。

おかげで家の掃除が大変でした(笑)。

とんでもない恩知らずですが、このように、野鳥は窓ガラスに頭をぶつけたりなどが原因で、よく脳震盪を起こします。しばらく安静にさせればまた元気になりますので、『安全な場所にうつす』ことが基本だと憶えておいて下さい。

大怪我していた場合は?

野鳥も骨折したり、事故で大怪我をすることがあります。

このような場合は、自治体に相談しましょう。

Googleで『野鳥保護 (お住まいの都道府県)』…などで検索すると、野鳥保護に関する情報が調べられます。

ちなみにぼくの住む大阪では、ボランティア獣医に診察をお願いすることもできるようでした。

この時、周囲の環境がどうだったかをメモしておくと役に立ちます。場所、天気、時刻、天敵(ねこなど)…。これらを記録しておくと、怪我をした原因解明に役立つからです。

可能ならば、早いタイミングで体重を測定できると治療に役立つのですが、なかなかそこまではできません。応急処置だけでもおぼえておくといいでしょう。

●出血している場合… 鳥にとってわずかな出血でも命取りです、出血部分を1分から5分ほど、しっかり押さえてあげれば血は止まります。

●濡れている場合、泥まみれの場合… 体温低下も鳥にとって命取りなので、決して洗わず、あたたかいタオルで拭くだけにしてあげて下さい。

●保護して病院に連れて行く場合… 胸の部分をつかむと呼吸ができなくなります。すずめなどの場合、手のひらで大切にすくうように抱いてあげると負担がかかりません。

また、現代でも鳥の病気はほとんどよく分かっていないのが現状なので、大きな怪我をした野鳥や野生動物を見かけたら、まずは自治体や獣医に相談してみてください。

また自然に戻ってもらうのが目的

長々と野生動物に対する思いやりの話をしましたが、最後は、自然に戻ってもらうことが目的です。

野生動物は自然の一部であり、大きなトラブルで人間の助けを借りたいことはあっても、人間が彼らの生活に関わりすぎると、むしろ彼らのためにはよくありません。

互いに自立した生き物であるために、必要である支援を行い、あとは彼らの力に任せましょう。

珍しい野生動物の飼育には憧れるかも知れませんが、もののけ姫・専業主婦説を思い出して頂き、彼らを尊重することこそが本当の優しさなのだと考えていただければ幸いです。

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