ニューヨークでホームレスから手渡された謎の暗号、隠された衝撃の事実とは…!?

アメリカで運用されている、世界最大規模の掲示板『Reddit(レディット)』。

1憶5,000万人以上が愛用しているこの掲示板に、とある奇妙な書き込みがなされたのは、2012年のことでした。

delverofsecrets さん(以下、デルバー)

■今日、ホームレスから50ドル(5,000円相当)と謎の紙をもらったんだけど、意味がわかる人いますか?

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私はニューヨークで働いているものなのですが、今日はとても不思議な経験をしました。

満員電車に乗ろうとしたとき、ぼろぼろの格好をした男性とぶつかり、なぜか彼は私に笑顔を向けてきたのです。

私は彼のことを特に気にも留めていなかったのですが、電車が14番通りに着き、彼が電車から降りる際、私に50ドル札と1枚の紙を手渡してきました。

「これはなに?」と聞こうとしたときには、もう彼の姿はそこにはありませんでした。

彼が手渡してきた紙を一日中眺めていても、さっぱりわけがわかりません。

紙にもお札にも何かが書かれているようですが、解読不能です。

これは私の考えすぎであり、彼はただのおかしなニューヨーカーだったのでしょうか。

それであればいいのですが、もしも他にも同じ経験をされた方がおられたら、と書き込ませていただきました。

この暗号の意味が分かる方はいらっしゃいますか?

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■紙の裏面

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■お札の裏には数字が

謎の暗号を、数万人が一気に解読

Redditにこの書き込みがされると同時に、数万人ものユーザーから注目が集まり、誰もが暗号解読に取り組みました。

その結果、お札の裏にある謎の数字『1342713600』は、UNIX時間(コンピューターのタイムスタンプ)に変換すると、2012年7月19日18時を意味していることが判明します。

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また、マス目の中に書かれているヘブライ語とロシア語部分を組み合わせると、これがBifid暗号であることが示されており、Bifid暗号解読機を使うことで、ついにこの暗号を解くことができたのです。

その衝撃の内容は以下のようなものでした。

『もっと、金を手に入れる方法がある。この暗号を解読したのなら、56番通りと6番通りの交差点で会おう。Rue57というカフェの前にホットドッグの出店があるはずだ。そこのMr.inputという人物を訪ねろ』

実際にこのRue57というカフェは存在し、2012年7月19日18時に訪ねれば、ホットドッグの出店とMr.inputなる人物がそこにいるのではないかと期待が高まります。

そこに行けば、この暗号のすべての謎も解ける…

きたる7月19日に向けて胸を躍らせていたデルバーさんのところに、『Reddit』を通してとんでもないメッセージが送られてきたのです。

君はルールを変えたね?

デルバーさんのところに送られてきたメッセージは、デルバーさんを震え上がらせるものでした。

私はMr. Inputだ。信じられないかも知れないので、君のバッグに書かれていることを思い出させてあげよう、●●●●(デルバーさんの本名)。君は友達の力を借りてしまったようだ。ではこれから、友達も参加者とすることにしよう。しかし、誰しもに私のことを知られたくないので、プロキシ暗号を使用する。DWY JLRR QUBPKSJ IL NDLM OQD OUCEQMW KGXI CSH RFRM XL WEZUXKJ. YME QLPRBAZ OQD TPVJG HPM UK CQJS H. PPVD BFSRST NJYT KR. BFPU EWP BMHY BTK WL VGB FXK R PXFE DTC GPBQL QWHKI JFA QRPE EJW EYC KLJ HCB JHGN

間違いなく自分の本名がそこに書かれているこのメッセージに、デルバーさんは驚きました。

しかも… Mr.inputを名乗るこの人物の『Reddit』名は、逆から読むとデルバーさんの電話番号になることに気づき、デルバーさんは戦慄します。

「彼は私の個人情報を持っています。私は19日、ここに行こうと思います…」

そのコメントとともに、再度『Reddit』にこのプロキシ暗号を投稿すると、ネットユーザーたちが一気に集まり、第2の暗号の解読が始まりました。

その結果解読された暗号は次のようなものでした。

君は友達の手を借りて、暗号を解読した。君は、ルールを変えたのだ。よって、私もルールを変えさせてもらう。7月12日午後4時、6.5通りと56通りの交差点にいる『Blue Jay(青いカシドリ)』という男を見つけろ。そして、その男に「自分が『ラスト』だ」と伝えるんだ。

7月12日。場所も時間もネットに公開されたこの交差点には、この暗号の結末を見届けようと多くの『Reddit』ユーザーが集まることになりました。

 

深まる謎

7月12日、指定された交差点に集まる多くの人々。

このときの模様はニュースにもなり、到着したデルバーさんの姿を含め、現在でもYouTubeで見ることができます。

■人がよさそうなデルバーさん(本名がAliさんであることがこのとき明らかに)

注目していた『Reddit』ユーザーも、デルバーさんも、この日、この時間に何が起こるのかと期待と不安に胸を躍らせていましたが、結局最後まで何も起こらず。

デルバーさん「これは何かのマーケティングなのではないでしょうか。もしくは、何かのいたずらなのでしょう。ここまで私の個人情報を知る人物、つまり私の身近にいる何者かのいたずらなのではないでしょうか」

集まった民衆たちもデルバーさんも解散し、あらためて最初の暗号の『19日』に集合しようということになりました。

不思議な謎ですが、19日にはきっと明らかになるはず…と誰もが考えていたのです。

しかしその翌日、デルバーさんを震え上がらせるような出来事が起こります。

謎の怪電話

多くの人々が集まり、カメラもまわった12日が過ぎ、13日になってデルバーさんから『Reddit』に書き込みがありました。そして、これがデルバーさん最後の書き込みになったのです。

今日、謎の人物から電話がかかってきました。その人物は、なぜか私の家族の名前、家族の住所までを熟知しており、私がこれまでのすべての投稿を削除すること、従わなければ家族に危害を加えると脅迫してきたのです。また、19日私が暗号の場所に行かないことと、『Reddit』ユーザーに19日は何も起こらないと宣言せよと要求してきました。私はこのアカウントを削除します。多くの謎を残したまま去ってしまい申し訳ありませんが、お金のために家族を危険にあわせることはできません。

この後、デルバーさんはアカウントを削除し、2016年の今も続報の書き込みはされず、すべての手掛かりは失われてしまいました。

もはや、この暗号がなんのことを示していたのか、探す手がかりはなにもなくなったのです。

この男が、『青いカシドリ?』

あきらめきれないネットユーザーたちは、ありとあらゆるところから情報を調べつくします。

Mr.inputなる人物の書き込みを解析すると、名前の一部がアメリカ陸軍情報機関の訓練施設のIPアドレスになっていることが判明。

さらに現在、世界中すべての道路の光景がグーグルマップに記録されていることを利用し、あるユーザーは過去にさかのぼって『暗号の交差点』を調べていたところ、奇妙な人物が映っていることを発見します。

あるユーザー: 2011年6月、暗号の交差点に映っているこの男の腕にあるタトゥーは…?

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■グーグルマップが6月11日に撮影した写真

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この男は、異常にグーグルカーの撮影を意識した動きをしている。

このタトゥーは青いカシドリではないのか…?

そしてあの日、7月12日、暗号のことで騒いでいたデルバーさんや民衆を、向かいの通りからじっと眺めていた、この人物はいったい誰だ…?

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■7月12日に撮影した写真

あの時、通りの向かい側で、この男はじっと我々を見ていた。

こいつが青いカシドリではないのか!?

7月19日、またこの男が現れるんじゃないのか…!?

しかし、7月19日は、デルバーさんが宣言させられた通り、約束の交差点では何も起こりませんでした。

このまま2016年の現在に至るまで、すべての謎は闇に閉ざされてしまったのです。

いったい、あの暗号はなんだったのか

ここまで、ロケットニュースなどの記事を参考にして書かせていただきました。

この暗号の話は、ぼくもとても気になっており、続報を待っているのですが、おそらく今後もこの謎が明らかになることはないでしょう。

日本ではこのような暗号事件が話題になることはまずありませんが、海外では暗号がかなり広く使われており、イギリスの諜報機関が、スパイを募集するために暗号で募集をかけたこともあります。

アメリカでは、大掛かりな謎の暗号『Cicada3300』というものが広まり、そこには「解けた最上位の者ひとりを求める」と示されていますが、いまだにこれが誰の仕業なのかわかっていません。

ぼくは暗号の話が大好きなのですが、今回の暗号は何も解けないままですっきりしない方も多いかと思われますので、ブログ管理人の私見ながら、今回の暗号の謎を想像したいと思います。

暗号のレベルから目的を紐解く

まず考えなくてはならないのは、相手の知的水準がどの程度かということと、暗号のレベルから、誰に渡したかったのか・何の目的だったのかが読み取れるということです。

暗号自体は、暗号ジェネレーターにかければ解読されてしまう代物ですので、知性が高い人間を探しているわけではありません。

名前欄に書きこまれたアメリカ陸軍諜報機関のIPアドレスなどは目くらましもいいところで、まったく無関係だと考えてもいいでしょう。陸軍諜報機関なら、もっと難しい暗号を出せますし、こんなふうに自分の正体がばれるのを恐れて人を脅迫しなくてもよいのです。

この暗号がいたずらなどでないのなら、暗号を渡すことの目的はたったひとつ、『秘密の共有を持ち掛けている』ということです。

秘密の暗号を持ち掛ける行為は、暗黙的に『このことは秘密にしてほしい』と言っているのと同義で、暗号が解けそうになればなるほど、これを守りたくなります。

やみくもに周囲にばらした結果、暗号を出した人間が「やっぱりやめた」と取り下げてしまうのを避けたい、特に大金をくれるというのならなおさら…と思ってしまうのです。

実際、デルバーさんは自分で解けなかったからネットで公開しましたが、自分で解けていた人が、それでもネットに公開したかどうかには疑問が残ります。

人にもよりますが、さらなる大金がほしいと願う人ほど、暗号が解ければ、周囲の人にも秘密で約束の場所に出かけてしまうこともあるでしょう。

つまり、たった50ドルで、秘密裏に人を特定の場所に呼び出せるのです。

普通、「50ドルあげるから、秘密でこの場所に来て」と見知らぬ人に言われても、行くような人は誰もいません。

暗号なら、たった50ドルでそれを成功させることができるのです。そしてそれが、この暗号のすべての目的です。

本当にデルバーさんにたくさんのお金を儲けさせたいと考え、彼のためを思う行動ならば、暗号で呼び出さなくても話をする機会はいくらでもあります。

わざわざこんな方法を使うのは、明らかに非合法な犯罪が目的ではないかと考えられるわけです。大儲けのチャンスなどではなく、その先に待っているものはただの悲劇だったのではないでしょうか。

なにが目的の本質なのか

この暗号の目的が非合法な犯罪だとしましたら、アメリカの社会の中で該当するものはたくさんあるかと思いますが、ここであえて名前を出すことは避けたいと思います。

ぼくは個人的に、デルバーさんが誰にも会えなくてよかったと思っているくらいです。

今回の暗号がいたずらでないのなら、非合法な犯罪へ導くことが目的ではないかと思いますが、その前に誰もが気になるいくつかの疑問点についても考えてみたいと思います。

なぜ家族の住所や名前までわかっていたのか

これは特に不思議なことではなく、カバンの名前を知っていたのは、電車内で覗き見たか、前から狙っていたからだと思います。

やみくもに不特定多数に暗号を配っても、いずれ公開されて世間に知られることになってしまうので、非合法な犯罪が目的なら多少は下調べもするでしょう。

そうでなくても、デルバーさんはこの暗号を公開した際、無関係なネットユーザーにFacebookアカウントを突き止められてしまい、自宅に変な電話をされるようになったと告白しています。

このことから、家族の住所や名前まで知るのはそれほど難しいことではありません。

青いカシドリはあの男なのか

約束の場所で目撃されている、青いカシドリとみられる男。

確かに非常にそれっぽく見えますし、青いカシドリのタトゥーは、遠目からだとああいうシルエットに映ることになりそうです。

■アメリカのグーグルで青いカシドリのタトゥーを画像検索した結果

しかし、この人に関しては考察に耐えうる材料がほとんどないので、関係があるともないとも、何とも言いようがありません。

6月と7月で着ている服がまったく同じなので、作業服で仕事をしている近隣の作業員だと言われても反論のできない状況です。

なぜ急に暗号提供をやめたのか

目的が非合法な犯罪なら、と仮定した場合ですが、このことが人に知られれば知られるほどやりにくくなりますし、ましてや待ち合わせ場所にテレビカメラまで回っている相手を犯罪に巻き込むのはとても難しいでしょう。

Mr.inputが「君はルールを変えたね」と怒っていたのは、実際、本当にイライラしていたのではないかとも思います。このあたりで潮時だと判断されてしまったのです。

目的を非合法な犯罪だと仮定すれば、世間に公開した時点で、こういう展開になっても必然ではないかと思います。

違う目的があった場合

上記のような犯罪へ導くことが目的ではなかった場合、暗号を出した者の目的は一体何なのでしょうか。

多くの行動から、ある程度はそれを推測することができると考えられます。

いたずら目的?

今回デルバーさんに渡された暗号は、デルバーさん以外の人に渡したりはされていないようです。

その人がネットに公開していなければ知る由もないのですが、これがデルバーさんだけのものだとした場合、彼のことをよく知っている人のいたずら目的であるという見方もできます。

いたずらにしては凝っていますが、アメリカのいたずら企画などを見ていると、日本とは比較にならないほど悪趣味なブラックジョークを用いているものが多く存在し、いたずらの価値観も日本とは大きく違うのです。

ですから、一連の行動がただのいたずらであった、と考えることも十分にできると思います。

何らかのプロモーションやマーケティングだった?

デルバーさんも真っ先に疑っていたことですが、アメリカでは広告費をかけずに、法に触れない方法で小さな事件を起こし、実はこれは○○の宣伝でした、と種明かしすることがよくあります。

また、市場調査などの目的でいたずらにも似た事件が起こることもありますから、これはそういったものの一部ではないかと見ることもできるわけです。

ただ、これですと最後の脅迫は別の人物がやっているとしか考えられなくなります。企業が脅迫を行うことはできないからです。

アメリカ陸軍などがかかわっている?

これは海外掲示板でも騒がれましたが、アメリカ陸軍などはこのような矮小な方法で自分の目的を遂げようとはしませんし、最後に脅迫する必要性もないと思います。犯罪になってしまうからです。

やはり今回の目的は、非合法な犯罪への誘導であったか、いたずらであったかと考えるのが妥当な気がします。

真相は闇の中ですが…

結局のところ、今回の事件に関しての真相は闇の中です。

ぼくは個人的に暗号が好きで、よく暗号の話を調べていますが、暗号の事件は表に出せないような裏があることがほとんどであり、だからこそ暗号を使うのだろうと考えています。

今回のようなお話はとてもおもしろいのですが、やはりその先に待ち受けているのは、『大金をゲットできる映画のようなドリーム』ではなく、利用されて捨てられる非合法な犯罪であるような気がしています。

デルバーさんがせめても巻き込まれなかったことを幸運だと思う他はありません。

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