あるとき、家でパソコンをしているわたしのもとに、こんな情報が飛び込んできた。
「あなたのところの家の犬、ねじりエビフライみたいになってるよ!」
犬がねじりエビフライ??
そんなことがあるはずがない…
わたしは、生まれ来る美しい命に思いを馳せながら、ふたたび眠りについた…
仮眠から目が覚めたわたしは、いつもの『高級車のオーナーになったふり遊び』を始めた。
これは、高級車の近くでむやみにウロチョロすることにより、あたかもその高級車の所有者であるかのように周りに錯覚してもらうという遊びだ。
もちろんわたしには、この高級車の車内のクッションの綿ひとつ買うお金はない。
今日も数時間ほど的確にうろちょろし、高級車のオーナーのように錯覚してもらったわたしだったが、そんなわたしの頭のなかには、さきほどの話が影を落としていた。
「犬が…ねじりエビフライに…?」
そうこうしているうちに、いつも遊んでいるY氏から電話が入った。
「ちょっとマクドナルドでお茶でもしない? 駅前のマクドに自転車集合で!」
Y氏は、このように今も学生時代のノリでわたしを誘ってくれる素晴らしい友人だ。
「今自転車ないんで、戦車で行ってもいい?」
「ははは、そんなもんで来れるもんなら来てみろよ!」
実際に戦車でマクドナルドに行くと、Y氏は完全に他人のふりをし始めた…
わたしは友達を失ったのだ…
■友達を失い、戦車の上で途方にくれるわたし
そんなわたしの頭のなかによぎったのは、やはりあの情報のことだった。
「わたしの家の犬が…ねじりエビフライに…?」
そんなことがあるものなのだろうか…?
この情報は、やはりわたしの心を大きく動揺させ、仕事にも支障が出始めた。
わたしはクルーザーを塗装する仕事をしている。
今日は客のクルーザーを青く塗装する仕事だったが、あまりの動揺から手がすべり、自分自身に塗装がかかってしまった。
「大丈夫ですよ」と客を安心させようとするが、どこからどう見てもなにひとつ大丈夫ではない。
こうしてわたしは、大切な仕事を失ってしまったのだ。犬がねじりエビフライになったために…
仕事の帰り道、『手をパンパンして不必要なほこりを撒き散らす人』の副業を始めても、わたしの心は闇に包まれたままだった。
いい調子だ。
いい具合にほこりを撒き散らしている。
こんなに美しい不必要なほこりだ!!
しかし…
なぜわたしの犬がねじりエビフライなのだろう…?
帰宅し、プリズン(監獄)に入れられるわたしだったが、それでも明るい気持ちになることはない。
わたしの犬がねじりエビフライに…? なぜだろう…?
プリズンの中でひとり考え、そしてわたしはプリズンに入れられていたのかと初めて気づいた…
プリズンの中で明るい気持ちになるわけないだろう…
そんなプリズン分のマイナスを含めても、わたしの疑念の強さは異常だった…
私の犬が、ねじりエビフライ…?
いくつもの愛を重ね、大自然と融合したわたしは初めて気づいた。
わかったぞ…!!
うちの犬を見に行けばいいんだ…!!
地球上のすべての生命と手をつなぎ、導き出した最後の答え。
わたしの心は、うそのように晴れやかだった。
犬のもとに向かう途中、わたしはいくつものエビフライを頭のなかに浮かべた。
本当に犬がこのようになっているのだろうか?
わたしの心は、期待と不安にはじけ飛びそうだった。
■万物と融合したわたしは、無駄にテンションが高かった。
犬のもとに駆けつけた私を、愛犬が出迎えた!
こ…これは…!!
そっくりだ…!!
まるで運命の双子星のように…!!
しかし、『ねじれ』は?
最初の話では、『ねじれエビフライ』だったはず…!!
む…!? こちらに気づいたか…!?
お…おお…
おおおおおお………
ねじったッッッ!!
ねじれエビフライの完成だーーーーー!!!
ここまで長くひっぱる必要があったのだろうか…
最初からこの3枚だけでいいじゃあねーか…
なぜこんな無駄な遠回りを…?
分かっているぞ…!!
この3枚だけでは、あまりにもブログとして内容が薄すぎる…
ちょっと前置きにジョークを書こうと思ったら、いつものお調子に乗るくせが発動し、ついつい意味不明な方向に話がそれていったのだ…
もっとシンプルでよかったんだ…
なにごともシンプルに…!!
そしてまた、わたしはプリズンに戻った…。
なにごともシンプルでいい。生き方はシンプルに。
これからは、何も迷わずシンプルに生きていこう…
しかしプリズンでシンプル以外の生き方があるというのだろうか…
そんな新たな疑念を胸に、わたしはまた眠りについた…