どこで買っても同じはずのジュースが…
全国でも謎めいた街だと名高い、カオスタウン・大阪。
さまざまな常識では考えられないルールがまかり通るこの街ですが、全国では『同じ値段』で統一されているはずの自販機のジュースが、勝手に30円とかで販売されていることを、みなさんはご存知でしたでしょうか?
今回は、ぼくが見つけた激安自販機と、とてつもない激安の理由に迫ります。
缶ジュース、ペットボトル、勝手に50円は当たり前
カオスタウン・大阪では、通常値段が決まっているはずの自販機でも、50円くらいの安さで売っていることはごくごく日常的な風景として存在します。
先日、ぼくはカオスタウン・大阪の中でも、最大のデスタウンと呼ばれる西成に行ってきましたが、そこではすべての自販機が50円でした。
西成というのは、日本の警察の中でも唯一、警察署が2メートル以上の鉄柵で囲まれてバリケード化している地域でもあります。
警察署がバリケード化しているのは、犯罪者が怖いからとかではなく、住民が怖いからという理由です。
西成区民はたびたび暴動を起こしており、住民が怖いから警察署が要塞化しているのです。
このような地域ですので、自動販売機が通常の価格などもってのほか、すべて50円であることを確認しました。
しかし西成はともかく、大阪では普通の地域でも平気で自販機を安くしています。
ついにぼくはとんでもない激安自販機を見つけましたので、その写真を公開いたします。
どうなってるの!?30円ジュース!
これがぼくの見つけた自販機の写真です。
どう考えても値札が手作りシールっぽいのですが、それはそうとして、飲料の価格を見ていただきたいです。
コーラなどは100円として…
ティーズティーや、トロピカーナオレンジが30円!!
30円てあなた!!
中身が空気だったとしてもバイトの手間賃でそれ以上かかるぞ!!
心がきれいで、自分の人件費をマサイ族と同等というくらい控えめに考えてくれるバイトがいなければ、この価格は維持できないはず…!
一体どうなってるの!?この事実を徹底的に調べてみました!
自販機を激安にできる謎!
大阪の自販機が異常に安いことにはいろいろと理由がありますが、そもそも、メーカーの自販機は決まった価格でしか売ってはいけないはず。大阪の自販機は本体からして違いました。
- オーナー個人が所有している個人の自販機
- もしくは、安いメーカーが管理している
このように、大手メーカーが管理しているものではないため、何をしようと勝手なのです。さらに、
- 自販機そのものを型落ちや中古で設置し、その分おさえたコストでジュースを安くしている
という話もあります。
それでもジュースは仕入れると30円では済まないじゃないか、と思いますが、そこにももちろんからくりがありました。
- 賞味期限ぎりぎりの品物を安く買って売っている
メーカーがもう捨てる寸前という品物を安く買ったり、またはメーカーそのものが、「廃棄するなら自販機で売ってやろう」と販売しているケースもあります。
こんなきわどいやり方をして売れるのか?という疑問もあると思います。
しかしこれは、イールド・マネジメントという売上を最大化する方法です。
イールド・マネジメントとは、もともと1970年代にアメリカの航空業界が、「空席の多い飛行機が出発しても、その日損した空席を次の日また販売したりは出来ない!どのみち空席で飛ばすなら激安で売ろう!」と、チケットの割引きシステムを考えついたのが原点です。
イールド(容量)をうまく管理するという方法なのですが、経済的に進んでいる国ならどこでも採用しているでしょう。スーパーで賞味期限近いお肉が安くなったりするのもそれです。
このイールド・マネジメントによって価格を下げると、波状効果で周囲の売上アップまでも期待できます。
実際、30円でジュースを販売したメーカーは、同じ自販機に置いている50円、100円のジュースまでも売上がアップしたそうです。
たとえば友達と歩いていて、友達が激安自販機を見て「30円!やっす!なんか飲もう~っと」と言いだしたら、「じゃあ自分も…」となりませんか?
友達が30円のドリンクを飲んだとしても、自分はそれが気に入らず、50円のものを購入することもあるかも知れません。
また、ひとりの時でも、30円の安さにふと目が止まり、たまたま50円のジュースに飲みたいものがあるから買う、ということもあります。
これらの戦略は、経済学では日常的に行われているものです。
まさか大阪のこんなところでそんな技が使われているとは…
本当にそこまで考えてやったのか?
イールド・マネジメントなんて、良く言いすぎじゃないのか?
「捨てるくらいなら売ったろ!!」という大阪精神がいいように出ただけじゃないのか?
そんなふうに思われたあなた、その考え方は完全に的を得ていると思います。
さきほどの30円ジュースにはこんな張り紙がありました。
ホットオレンジ、冷やして販売中!!
ルール無視!!『あったか~い』を『つめた~い』で販売!!
大阪の「とりあえず売ったろ!!」精神が、偶然にイールド・マネジメントとして出た!!
今後も商売上手で、なんか雑な大阪から目が離せません!!
ちなみに福島区には、価格破壊の10円の自販機も存在するとか!
そんな大阪を今後も続々紹介していきます!