未来は必ずこうなる、第二のIT革命
インターネットが社会に広まり、蒸気機関以来の第二の産業革命だという方も多いです。
いまやインターネットは、小さな子どもでも使用できる媒体となり、うちの5歳の息子も、iPadの音声認識を使って声でおもちゃの動画を検索しています。
こんな未来を誰が想像できたでしょうか?
しかし、IT産業は必ず第二の進化を遂げます。
それこそがIot(Internet of things)であり、必ず未来はこうなっていくと推測され、多くの企業や実業家に注目されています。
いったい、Iotとは何なのでしょうか? 未来はどうなるのでしょう?
そんな新たなIT革命について、わかりやすく解説いたします。
身の回りにあるすべてのものがインターネットに繋がっていく
Internet of things、直訳すると『物のインターネット』ということですが、そのものずばりで、すべてのものがインターネットに繋がるようになります。
もうすでにスマホとかネットに繋いでるよ!?と思われるかもしれませんが、Iotでは、人間がなにもしなくても、すべての物が勝手にインターネットに繋がっていきます。
そんなことされたら怖いじゃんという方もおられるでしょう。
確かにとても怖い技術です。
しかし、怖い技術だからこそ、その便利さも今までにはないレベルのものでになるといえます。
Iotは、インターネットが生まれた時から、こう進化するべきだった宿命でもあり、多くの可能性を秘めた第二のIT革命でもあります。
具体的にどのようなものなのか説明していきたいと思います。
物がネットに繋がったらどうなる?
我々の身近にあるものたちが、自分で勝手にインターネットに繋がり、さまざまな仕事を行う…。
期待と恐怖がありますが、実は、Iotはもう我々の生活の中にかなり入り込んできており、すでに実用化されている部分もあります。
たとえば、Amazonで今年から開始される『Dash補充サービス』は、完全なるIotの走りだと見ていいでしょう。
『Dash補充サービス』では、専用の電子チップがついている家電で、消耗品がなくなったことを自動で認識し、Amazonに自動注文するという仕組みです。
プリンターのインクが切れても、わざわざ自分で注文する必要はありません。プリンタが自動注文し、いつのまにか自宅に届いています。
洗濯機では、毎回洗剤の使用量を計算し、なくなりそうになったら洗剤を追加注文します。
浄水器や、ハンドソープ、犬や猫の食器までも、自動的に消耗品を注文してくれます。
これは夢物語ではなく、すでに実用化されており、また、Amazonはこれまで一部企業だけに公開していた『Dash補充サービス』のメカニズムを一般公開したため、どの企業や個人でも参入・開発できるようになっています。
まさに時代の分岐点であり、未来は、必ずIotが席巻する方向に変わっていきます。
消耗品程度のことではなく、あらゆるものにネットが搭載された時、我々の生活はまったく違うものへと姿を変えるのです。
Iotは天使か悪魔か
Iotは大きなものにも導入可能なので、家そのものも、スマート・ハウスとしてインターネット化されていく計画が立てられています。これは今後10年以内に進められる予定です。
これにより、電気の使用量やガスのメーターなど、もう人間が点検する必要もなく、すべてのデータが自動的に電力会社やガス会社に送られて、発送電コントロールに使われることになります。効率のよい発送電が可能になります。
乗用車も、無人で動く『グーグルカー』は、すでに運用可能なレベルに到達していますが、Google以外にも多くの企業が熾烈な争いをして、車のIot化を競っています。将来的に、完全自動運転の車が、無人タクシー、自動輸送システムを担ってくれることを期待されています。
コペンハーゲン空港では、乗客のスマートフォンのWifi接続数から客の流れを推測し、常時、最適な数の職員をチェックゲートや税関に配備するようにしていますが、Iotでは、更にそれを大きく、しかも細く観測できるでしょう。
これらのものが世の中に広まった時、本当に悪用されないかどうか気になる方もいらっしゃることと思います。
Iotよりも早く世の中に登場したウェアラブル端末では、すでにその危険性が多く議論されています。
サングラス端末・グーグルグラスは、片方のグラスがパソコン画面になっており、移動時にGoogle Mapsを見たり、ネット検索したり、視界を撮影・録画したりということができましたが、実用段階にあったものの、危険性を訴える声が多く、販売することが出来ませんでした。
やはり人間は、これらのウェアラブル端末を運用すると、便利さ以上に悪用される恐怖を抑えることができないでしょう。
しかし、これらの視野や眼球運動をコンピューターで追う技術は、とてつもないスピードで研究開発されています。
ちなみにGoogleが2014年に特許をとったのが、『スマートコンタクトレンズ』です。
コンタクトレンズにカメラが内蔵されており、視線の移動、まばたきだけで画像を撮影することが出来ます(まだ実用化されていません)。
このレンズが将来実用化されるかどうかは不明ですが、視線や眼球運動をデジタル認識する機能は、社会への貢献度も非常に高いであろうと推測されます。
医療現場でこれら技術が浸透すれば、しゃべれなくなった患者さんや、動くことの出来ない患者さんにも、まったく新しいケアを提供することが可能になります。
本をめくることに指が必要ということももうありません。
目でめくり、視線でスクロールし、まばたきで閉じるといったことが、本当に可能なのです。
これらの技術がスマートフォン含め、多くの社会の現場で活用され始めた時、世界は大きく変わっていきます。
インターネットが広まった時、便利だという人もいれば、悪用できるという人もいました。
携帯にカメラが搭載された時にも同じ議論が起きました。
その後起きた数々の事件を見ると、我々の道徳観念は、残念ながら技術の進歩よりもずいぶんと発達が遅れているようです。
技術の進歩はもはや絶対に止まることはなく、いま、急速な進化を求められているのは、我々のモラルのほうだと言えるでしょう。
Iotの平和的活用とは
アメリカの調査会社ガートナーは、2013年から2020年までの7年間で、Iotによって得られる経済価値は100兆円にものぼると算出しています。
Iotはいまや、新しい時代の中心になることが分かっているので、どこの企業も自社のIotプロトコル(決まり事)をディファクトスタンダード(業界標準)にしたいがために競争しています。
Iotはどのように平和利用できるのでしょうか?
ひとつに、人間が経験や勘で行っていたものを、すべて機械に任せることができるというものがあります。
農業などにもIotの導入が考えられており、多くの作業を安心・安定して進められることになるでしょう。
自動販売機がカメラ付きでIot化されると、商品の補充だけではなく、地域や曜日、時間帯、温度によって何が売れるか、客層はどんな方なのか、一瞬にして全体で管理できるようになります。
また、レジが必要なくなる未来も訪れます。ショップに電磁式の会員パスを持って入り、チップが貼られた商品をカゴに入れ、識別ゲートを出ると、自動的に認識された会員パスのアカウントに代金が課金されるといった仕組みも実用可能です。
ただし、Iotや人工知能の台頭が、人類に大きな変化をもたらすことで、多くの業種が存在しなくなってしまうことは懸念されています。
かつて日本でも、企業が中国に労働力を移した結果、産業構造の空洞化が起こり、社会資源を損失する結果になりました。
文明の発展において幾度と無く起こってきた出来事でもありますが、我々の生活にも多くの変化を要求されることになるでしょう。
Iotは技術・アイディアともに正に黎明期にあるため、今、革新的な技術とアイディアを示したものが、次世代で強力なイニシアティブを取れることは間違いありません。
企業の戦略を支える大きな側面がIotにはあります。それはビッグ・データの収集です。
考えられない情報収集力
ビッグ・データとは人間の手で処理することができないほどの莫大な情報のことですが、企業が求めているのは、Iotによって手に入れられる、生活に密着したビッグ・データです。
身近なものすべてにIotが導入された際、もはや、個人の生活は透けて見えると言っていいでしょう。どの商品をどう販売すれば売れるのか、もうアンケートを取る必要すらありません。個人の生活はまったくの透明であり、企業戦略には的確に個人の要望が反映されていくことになります。
クレジットカードやスマートフォンにもその側面はありますが、Iotによるビッグ・データはまさに桁違いです。我々がなにも口に出さなくても、オートマティック化された身の回りの小物たちが声を上げ、生活環境を企業に訴えていきます。
なにが不便で、なにが足りないのか、消費者が意識すらしていない要望を企業へと伝えてくれます。
これらはもはや10年以内に運用される段階にあり、我々も、我々の子孫もIotの中に暮らしていくことは100%間違いありません。
セキュリティとモラル
Iotの活用のために多くの人材育成が成されていますが、やはり、Iotで最も危険視されているのはセキュリティ問題だといえるでしょう。
パソコンやスマートフォンですらハッキングされる世界ですから、生活に密着するIotのセキュリティ問題は、今後世界的に慎重な運用を要求されています。
Iotのセキュリティは現在未発展の分野であり、関連する技術とアイディアの多くが未開拓であるために、数々の企業からビジネス・チャンスを期待されているのです。
しかし、iPhoneにiOS、スマートフォンにAndroid、グーグルカーにはGoogle car Playが搭載されるように、Iotにもプラットホームが搭載されるだろうと推測されていますが、ここにハッキングを受けた場合、社会に対するダメージは計り知れません。
データを悪用される危険も飛躍的に向上します。
技術の進歩とモラルの進歩は同速ではないため、今後のIotをどのように使っていくかは、我々に課せられた課題のひとつであるでしょう。
大きな課題と希望を持つIot、今回は触りの概念をご紹介いたしました。
今後も詳しくブログで取り上げていきたいと思います。