コナミ公式ページより
なでしこコレクションとは?
なでしこコレクションとは、2013年に発表されたGREEの携帯ゲームです。
『ラブプラス』のプロデューサーとイラストレーターが制作したということもあり、発表前から「これはすごいのでは!?」と期待が集まっていました。
リリース前には、当時珍しいプロモーションビデオまでもが流され、「いける!」と思われた5ヶ月後、『サービス終了』がアナウンスされたのです。
5ヶ月間必死になって遊んでいたプレイヤーもいるんですよ!? わたしです!!
いまやネットで検索しても、情報の藻屑のようなものしかひっかからない『なでコレ』、ヘビーユーザーからの鎮魂歌に代えて、記事を書き残させていただきます。
『艦これ』との関係は?
『なでコレ』という名前を聞くと、大ヒットゲーム『艦これ』と何か関係性はあるのかと思われるかと思いますが、まったく関係ありません。
むしろ関係してほしかった、関係していれば5ヶ月で終わることにならなかったのに…と思いますが、あまりにもゲームが持つ戦闘力が違いすぎて、今や比べることもおぼつきません。
pixivで『艦これ』を検索すると、320,000件のイラストがヒットしましたが、『なでコレ』は38件。
日本全国で愛している人が38人…!?
指で数えられるぞ!!
全員の名前を記憶出来るぞ!
だって『なでコレ』のカードより少ないもん!!
ゲーム中のカードよりも少ないファンがいないとは…。
『なでコレ』はカード数が多く、都道府県をテーマにしたゲームなので、東京の女の子、大阪の女の子など、とにかく個性溢れバラエティに富んでいたのが特徴でした。
もうプレイすることはできませんが、ゲームの特徴についてもご紹介いたします。
なでしこコレクションの特徴
なでしこコレクションの設定は、日本に突然怪人たちが現れ、それぞれの都道府県をモチーフにした女の子たち『なでしこ』が立ち上がり、怪人と戦っていくというストーリーです。
しかし、プレイヤー間でのバトルも激しく、クエストもなでしこ同士戦ったりするため、気づけば『ほとんど怪人と戦ってねぇ…』と思わされることもしばしば…。
前述のとおり、ゲームリリース前にはプロモーションビデオまでもが制作され、多くのなでしこの動く姿と声を見ることが出来ました。
プロモーションビデオは実にいい出来で、ゲーム本編を期待させます!
コナミ公式ムービー
プロモーションビデオの中で公開された、なでしこと敵役の豪華声優陣です!
築地はるみ(東京なでしこ)…沢城みゆき
難波花月(大阪)…沢城みゆき
カレン横須賀(神奈川)…沢城みゆき
牧之原みどり(静岡)…沢城みゆき
宇治原茶々(京都)…沢城みゆき
男鹿彩理(秋田)…沢城みゆき
釧路まりも(北海道)…沢城みゆき
甲賀狗実(滋賀)…沢城みゆき
謎の女(怪人)…沢城みゆき
沢城みゆきの1人9役…
…そら終わるわこのゲーム!!
と思われた方!! 確かに終わりましたがもう少し説明させて下さい!(笑)
声優は、沢城みゆきさんが天才的な声色で演じ分けてくれたので、まったく問題ありません!
耳で聞いているだけでは分かりません! 分かるのは訓練されたニンジャだけです!
『なでコレ』のシステムの問題は、もっと別のところにあったのです…。
バラエティに富み過ぎるキャラクター
都道府県をテーマにしただけあり、多くの個性豊かなキャラクターが生まれていますが、個性豊かすぎるところに問題がありました。
かわいいキャラとネタキャラの格差が激しく、自分のご当地のネタキャラが嫌だったとしても、ご当地のキャラにはステータス補正があるため選ばざるを得ず、他の都道府県を羨ましいと思いながら過ごすことになるのです…。
これだけでは分かりづらいですが、くまモンが好きなのにふなっしーと心中することになったと言われたら、少しわかりますか?
ゆるキャラグランプリ59位がご当地だったとしても変更できない歯がゆさは?
ぼくはやはり郷土愛から大阪で始めたわけですが、その場合、『近畿の女の子しか集めても強くならない』というシステムがあります。
近畿のなでしこたち。お好み焼き、食い倒れから大仏までさまざまである コナミ公式ページより
しかしぼくの一番のお気に入りは鳥取の女の子であったため、
鳥取の女の子 コナミ公式ページより
鳥取に引っ越す(※要課金)かどうか迷うものの、引っ越すと『中国四国の女の子しか強くならない』状態になってしまい、今まで集めたカードが無駄になるわけです。
その結果、我慢してゲームをするわけですが、プレイヤー戦で鳥取のプレイヤーと戦うと、
「うらやましいぞ!!鳥取のやろう!!」
というわけのわからない嫉妬を持って過ごすことになります。
東京の女の子は、『ツンデレ妹・職業寿司屋』という
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属性の上に属性をツムツムした状態ですが、福井県は『カニ娘』という、
コナミ公式ページより
明らかにイカ娘をパクってるんじゃねーかと、ネタ切れなんじゃねーかと疑問に思うキャラがご当地になっていたりします。
なにしろ、都道府県をモチーフにしているわけですから、ベースキャラでも47人、サブキャラを含めるともっと増えていくわけですが、この増えすぎたキャラクターにも問題があるのです…。
大金払ったガチャで、SRが出ても使えない!
都道府県システムで、自分のご当地キャラしか強くならないものの、ガチャではまんべんなくいろんなご当地が出てくるわけです。
このことから、いくら課金してガチャを引いても、ご当地以外のキャラクターは使えないのに、やたらとご当地以外のSRが集まってしまうという不条理があります。
この状況は全プレイヤーが同じ思いをしているため、ご当地を揃えていくためには、他プレイヤーとトレードを行っていくしかありません。
しかしここで、『なでコレ』の謎システムが思いもよらぬところで顔をのぞかせるのです。
トレード必須なのに、フリートレードシステムがない
トレードしなければほぼ成立しないゲームであるにもかかわらず、オークションのように『出品』『落札』するフリートレードシステムが搭載されていないため、手作業で1人ずつ交換相手を探さなければいけません。
いらないSRカードを引くと、そのカードが欲しい人を、ゲーム外のGREE『なでコレ』掲示板で1人ずつ探し、しかも、その人がたまたまこちらが欲しかったカードを余らせていた時のみ、トレードが成立します。
これはとてつもなく面倒くさいシステムであり、ゲーム外の掲示板を見る時間がゲーム時間よりも長くなることもしばしば。
そもそもゲームのプレイヤーが少ないのに、その中で草の根分けてのトレードになっていきます。
運良く交換相手をGREE掲示板で見つけ、交換するためにメッセージを送り、『友達登録』してトレードしようとしても、またもや『なでコレ』の謎システムが行き先を阻むのです…。
友達登録しても14日間経過しないとトレードできないシステム
新規登録してカードをトレードしまくる方法を禁止するために生まれたこのシステム、健全なプレイヤーの行動も大きく縛り、せっかく交換相手を見つけても、2週間立ち往生してしまう仕組み。
わざわざ交換相手を探して友達登録したものの、お互いにカード目当て、好きでもなんでもない相手ですから、さっさとカードを交換して終わりにしたいものが、なまじ2週間も友達でいないといけないために、『日記を更新したよ!』などのいらないニュースまで受け取らないといけない始末。
その上、2週間という期間はあまりにも長すぎて、待っている間に「他にもっといい条件の相手が見つかった」、「交換したいカードが変わった」ということが往々にしてあります。
『なでコレ』でうまくトレードを進めていくためには、『より多くの種類のカードを、なるべく多くの枚数持っておく』ことが絶対条件になってくるわけです。
このため、どんなカードでも捨てず売らず、同じカードでも多くの枚数を保持する必要がありますが、更にまた、『なでコレ』のシステムが行く手を阻みます…。
同じカードが自動合成されていくシステム
『なでコレ』では、同じカードは持っているだけで勝手に合成されるため、「トレードのために●●と●●用意しとこ」と思ったら、勝手に合成されて1枚になっていたということがよくあります。
トレード開始までに2週間かかるため、2週間前には『SR1枚同士』で交換を希望していたものが、突然相手から「合成されて3枚分の価値になりました。そちらも3枚出して下さい」と言われるようなことが往々にして起こります。
こうなりますと、2週間待っていて互いに個人情報を公開しあったものも水の泡。改めてトレード相手を探さなくてはなりません。
これがまた異常に面倒くさいため、トレード板の中では、「2週間の間に合成されても文句を言いません!」と誓いを立ててからトレードに入る方もおられましたが、プレイヤーがここまでするなら、フリートレードシステムを作って欲しいと誰もが思っていたものです。
この人力フリートレードシステムで何ヶ月もかけてプレイヤーはカードを揃えていきました。まさか5ヶ月の財産であるとは誰も思っておらず、トレード市場を築き上げていたわけです。
終わりの予感
プロモーションビデオの時点で終わりを予感していたという方もおられるかも知れませんが、イラストレーターのミノ☆タロー先生ファンにとっては見て見ぬふりしていた事実ではありました…
しかし、いよいよ終わりを予感するような出来事が訪れます。
ゲーム内で突然ガチャのキャンペーンが始まり、しかも数千円の高額ガチャばかりが取り扱われ始めたのです。
『今だけ!』『今だけ!』と銘打たれ、われわれプレイヤーは、「少し経営難なのかな?」と思っていたものの、まだまだ課金は行いません。
『なでコレ』のシステムから、ガチャをまわしてレアが出てもいらない可能性もあり、また、必要なキャラであったとしても、ある程度合成されるとあまり成長しなくなるのです。
だいたい50枚ほど合成すると、もうそこからは合成してもほんの少ししか成長せず、100枚以上合成すると1しか上がらないようなこともあります。
強いプレイヤー同士は合成しきっているため、お互いにほとんど同じ数字で戦うわけです。
この状況から抜け出すためには、ガチャでリリースされた新しい強いキャラを育てる必要がありますが、「また最初から100枚くらい集めるの!?」と考えると、課金するタイミングを失うわけです。
こうして課金せずにいると、いよいよ、『自分のご当地キャラしか出ない高額ガチャ!』などが提供され始めます。
なぜ最初からそうしなかったの!?
この様子から、「運営は相当厳しいのかな」と思っていたものの、まさかそれが1枚のTシャツを奪い合うような貧困レベルとは思ってもおらず、誰もが傍観していたところ、ゲーム終了のアナウンスがなされたのです…。
風雲!なでしこコレクションの思い出
このゲームはぼくにとって、全イベントコンプ、全面クリアした唯一のソシャゲであり、初めてサービス終了を見届けたゲームであるだけに、思い出深い一本でもあります。
ところで今、タイプミスで『不運!なでしこコレクション』と打ち間違ってしまったのですが、あまりにもこのゲームを表すのに最適な言葉であると思えたためここに残しておきます。
ゲームシステム面での紹介が多かったですが、プレイヤーの中には、「画面が赤と黒しか使われておらず、目がチカチカする」と言ってゲームから離れてしまった方も多いようでした。
画面の配色ですでに脱落者を出してしまうとは…。
コナミ公式ページより
ゲームサービス終了時に、プレイヤーへの救済措置として、同じコナミのゲームである『秘書コレ』で使えるガチャチケットなどがたくさん配布されました。
『なでコレ』プレイヤーは寂しいながらも、なでしこの遺産チケットを使って『秘書コレ』でもやってみるかと、後ろ髪引かれながら移動していったわけです。
その秘書コレが、また1年後に終了するとは思わず…。