本当にちゃんと考えて作ったの!?
SDガンダム外伝2~円卓の騎士~は、1992年に発売された騎士ガンダムのRPG。
幼かったぼくは、ガンダムのゲームということで夢中になってプレイしていましたが、当時ですらも、なんかこのゲームおかしいぞと思いながら遊んでいました。
大人になってから見ると、おかしいどころか、どうしてこんなシステムを搭載したのかというツッコミどころばかり。
今回は、愛すべきクソゲー、SDガンダム外伝2~円卓の騎士~について紹介いたします。
敵1人、味方13人
円卓の騎士は、『アーサー王と円卓の騎士』をモチーフにして作られたガンダムの外伝的物語。
原作である『アーサー王』には13人の仲間がいるため、当然この物語のガンダムも、13人の仲間をつれています。
このストーリーまではよかったのですが、これをそのままゲームにしたのがまずかった。
なんとRPGでありながら、仲間が同時に13人登場するというとんでもない事態になってしまったのです。
敵キャラが1体出てきたところで、こちらは13回連続攻撃。
どっちがわるもんと聞きたくなるくらいに暴力的な展開が繰り広げられます。
通常のRPGでは、仲間ひとりひとりに攻撃、回復など指示を与えてプレイしますが、毎回毎回13人分指示を与えているととてつもなく時間がかかり、途中からもうゲームクリアしたことでいい気になってくるという事実。
この13人パーティーという無敵艦隊に対抗するため、ゲームシステムも独特なものとして作られています。
仲間がひとりひとりが信じられないほど弱い
仲間が13人いるとどんな敵でもフルボッコにできるかのように思われますが、大人数のかわりに、ひとりひとりが信じられないほど弱い状態になっており、少々叩いたくらいでは雑魚すらも倒すことが出来ません。
こんなもん13人集めてどうすんだと思わされますが、強い仲間1人ですむものを13人まで薄めて倍増したため、やたらと戦闘に時間ばかりがかかっていきます。
雑魚を倒すのにも大苦戦…!
早くレベルが上がりたい!!
レベルさえ上がれば、もっと楽に倒せるようになっていくだろう…!
そんなプレイヤーのわずかな希望を、このゲームは容赦なく奪っていきます。
レベルは13人でいっこ!しかも絶対上がらない
なんと13人も仲間がいるのに、全員でひとつのレベルを共有するシステム。
しかもこのレベル、戦闘などではまったく上がらず、新しく仲間が加入した時のみ上がるという不可解なシステムを採用しています。
そのため、雑魚との戦闘はほとんど完全なる無意味。
ただでさえもやしっ子13人を抱えているというのに、戦闘しても何も得られないというのであれば、13回もコマンド入力して戦う時間が無駄と考えても不思議ではないでしょう。
それならそれで、少しでも戦闘を回避して、さっさとストーリーを先に進めたい。
そんなプレイヤーに、またしてもこのゲームは凶悪に襲いかかってきます。
何もしなくても敵が襲いかかってくるシステム
まったく新しいシステムとして、動いても動かなくても、時間が経てばいきなり敵が襲いかかってくるシステムを搭載しています。
ゲーム中、ちょっとお茶でも入れようと思うものなら、必ず敵との戦闘画面になっているという意味不明な仕様。
倒したところで手に入るものはほとんどなにもないため、出来る限り戦闘を回避したいところですが、その方法はたったひとつしかありません。
それは、裸になること。
主人公たちが装備している武器・防具の重さによって戦闘発生率が変わるため、裸になることで敵との戦闘を極力回避することができます。
主人公たちは、13人が素っ裸で世界を救う旅に出ることになるのです。
彼らは一体なにをしているのでしょうか?
世界の危機に裸でうろうろする主人公たち、これ自体が完全な危機です。
しかし、このゲームには独自の『武具オーダーシステム』があり、重さの少ない武器防具も自分で作ることができるので、せめてそれを装備させて裸を回避したいと思いますが、このシステムがとんでもない裏目を引いてしまうのです。
ゲーム開始直後から、1Gで最強の戦士に!
このゲーム独自の『武具オーダーシステム』では、お金を払うことで好きな武器を作ることが出来ます。
お金の金額によって、武器に振り分けられるポイントも増えていくので、最初は弱い武器しか作れないはず。
しかし、武器の名前に特定の名前をつけることで、特殊な効果が発揮されることもあるかも…というのが武具オーダーシステムの隠し要素です。
全国のちびっ子たちは、「どんな名前をつけたら強い武器が生まれるんだろ?」とわくわくしていましたが、この『特別な名前』というのが、なんと
『最強の剣』
『最強の盾』
というなんのひねりもない直球ネーミング。
うっかり自分の武器に『最強の剣』と名づけてしまうと、たった1Gで作った武器でも、いきなりゲーム中最強の強さになってしまうという信じられないゲーム崩壊仕様です。
このゲームにはストーリー以外のやりこみ要素がまったくないので、作った時点で確実にゲームのバランスが崩壊します。
その上、名前と名前を合わせるとダブル効果になるため、
『最強の剣・盾』
という名前で武器を作ると、片手剣なのに究極の攻撃力と防御力をもった想像できない武器に。
これをふたつ作り、右手に『最強の剣・盾』、左手に『最強の剣・盾』を持つと、もうゲーム中誰もかなわない強さになります。
そんなやつらが13人もいるのです。
しかも裸で。
こんなゲーム信じられますか?
せめて13人で許してほしいところですが、このゲームでは多くのサブキャラが無意味に登場します。
特殊技でラスボスを暗殺できるサブキャラ
タイトルの意味がまったくわかりませんが、このゲームでは、円卓の騎士13人よりもサブキャラのほうが最強の強さを持つ仕組みになっています。
特に、ラスボスの手前で仲間になるビギナ・ギナは、仲間になった瞬間に最強の装備を持ち、特殊技の『ひっさつ』は、一撃で相手を必ず殺す技。
ラスボスさえも確実に一撃で殺せるため、もう円卓の騎士はまったく不要。
最初からこの人ひとりでよかったというゲームそのものを殺してしまう能力を持っています。
13人のもやしっ子で戦う意味を完全に失わせるのですが、このビギナ・ギナ、ラスボスの直前で登場するものの、ラスボスとは戦えない仕組みになっており、雑魚戦のみ参加して立ち去るという『ひっさつ』を見せびらかしただけで終わる状態になっています。
13人で世界を旅しなくても、ラスボス直前にいるビギナ・ギナがラスボスを『ひっさつ』すれば、最初からゲームが始まらずに終わっていたはず。
なぜわたしたちを裸で世界中走り回らせたのか?
答えてくれビギナ・ギナ!!
そして伝説へ…
感動的なようなそうでないようなエンディングを超え、スタッフロールの後には、なんと続編の導入部分が流しだされます。
『聖機兵物語・TO BE CONTINUED』……
聖機兵物語は、騎士ガンダムカードバトルで円卓の騎士に続くストーリー。
この演出に、幼かったぼくは沸き立ちました。
「聖機兵物語もゲームになって発売されるんだ!! やったーーーーー!!」
そしてあれから25年経ちますが、まだ何も発売されていません。